証券の強制的な上場廃止に関する規制と投資家向け注意事項
04-09-2024

株式市場における必要な場合には強制的な上場廃止に関する規定は非常に重要であり、公正かつ透明な投資環境の形成に貢献する。強制的な上場廃止に関する規定を理解しておくことで、投資家はより正確な投資判決定を下すことができる。

 

ベトナムにおける株式の強制的な上場廃止に関する規定

強制的な上場廃止に関する規定は非常に重要であり、公正かつ透明な投資環境の形成に貢献する。これにより、良好な業務運営を行い、法規制を遵守している企業だけが、ベトナム証券市場で長期間にわたって上場を維持できるようになる。

証券法の一部規定を詳細に実施するための2020年12月31日付の政府令第155/2020/NĐ-CP号(以下「政令第155/2020/NĐ-CP号」といい)第120条第1項によれば、公開会社の株式は以下の場合に強制的に上場廃止される:

    • 上場企業が国家証券委員会(以下「SSC」といい)の通知により、上場企業の資格を取り消された場合;
    • 上場企業が主要な製造業または事業活動を1年以上停止または停止された場合;
    • 上場企業が企業登録証明書または専門分野の営業許可証を取り消された場合;
    • 株式が証券取引所で12ヶ月間取引がなかった場合;
    • 株式が証券取引所の上場登録承認した日から90日以内に取引されなかった場合;
    • 上場企業の製造業または事業活動が3年連続で損失を計上した場合、または審査時期前の直近1年間監査済み財務諸表において累積損失が実際の出資金額を上回り、または株主資本がマイナスの額であった場合;
    • 上場企業が組織再編、解散、破産などで存在を終了した場合;
    • 監査法人が上場企業の直近の年度の財務諸表に対して監査の実施を承認しない、または監査意見が相反する、または意見不表明である、あるいは3年連続の財務諸表に対して限定付適正意見であった場合;
    • 上場企業が3年連続で年度報告書の提出を遅延した場合;
    • SSC及び証券取引所が上場企業の上場申請書類が虚偽であると発見した場合;
    • 上場企業が証券法第 12 条第 1 項、第 2 項、第 3 項、第 7 項に規定される禁止行為に違反し、懲戒処分を受けた場合;
    • 上場企業が業種または主要事業活動に対する営業停止または禁止を受けた場合;
    • 合併、分割、事業再編等により上場条件を満たさなくなった場合、またはこれらの活動後に所定の期限内に上場登録手続きを行わなかった場合、または上場条件の再検討または登録の変更を行わなかった場合;
    • 上場企業が情報開示義務に重大に違反した場合、または証券取引所に対する財務義務を履行しなかった場合、または証券取引所またはSSCが投資家の利益を保護するために上場廃止が必要と判断するその他の場合。

上場廃止前の投資家への早期警告に関する規制

 投資家に対して株式上場廃止の潜在的なリスクを早期に警告するために、ベトナム証券取引所の会員理事会が決定第17/QD-HDTV号に基づいて上場証券および上場証券の取引規則を発行した。これにより、株式が警告、監視、制限、取引停止の対象となる場合についての規定が示されている。

例えば、公開企業の株式は「3年間連続で営業損失を計上した場合」に上場廃止される可能性が ある。それに先立ち、証券取引所が「上場企業の監査済み財務諸表で未処分利益がマイナスの数である場合」に株式を警告対象とし、「上場企業の最近2年間の監査済み財務諸表で税引後利益がマイナスの数である場合」に株式を監視対象とする。

証券取引所が発表する警告、監視、制限、取引停止の決定は市場全体に広く公開されておるため、投資家は将来的に上場廃止のリスクがある株式についての情報を把握することができる。

強制的に上場廃止後の株式の取引規制

 上場企業の株式が上場廃止された後でも、公開会社の条件を満たしている場合、政令第155/2020/NĐ-CP号第120条第2項の規定により、その企業はUPCoM取引システムへの取引登録を行う必要がある。これにより、投資家はUPCoM市場で株式の取引を継続することができる。さらに、政令第155/2020/NĐ-CP号第122条の規定により、強制的または自発的に上場廃止された企業は、UPCoM取引システムで最低2年間取引を行った後、上場条件を満たしていれば、証券取引所に再上場を申請することが可能である。

株式の強制的な上場廃止に関するいくつかの国の経験

 国際的な経験からも、世界の多くの先進証券市場では、上場企業が上場基準を満たさなくなった弱小企業に上場廃止の基準を設けている。韓国、タイ、日本の証券市場において、企業が解散や破産によって上場廃止されることに加えて、次のような基準が設けられている:収益、時価総額、監査法人の意見、売買高、情報開示違反、コーポレート・ガバナンス違反などである。

韓国証券市場

上場廃止の基準 KOSPI市場
収益 2財政年度連続で50億ウォン未満
資本の減損
    • 全会計年度末の資本が減損。
    • 2財政年度連続で資本の減損率が50%を超える。
株価 監視対象となった日から10日間連続して株価が額面価格の20%を上回るという要件を満たしていない。
時価総額 監視対象となった日から10日連続して時価総額が50億ウォン以上の要件を満たしていない。
監査人の意見
    • 監査意見が相反している、または意見不表明である。
    • 2財政年度連続で監査意見が限定付適正意見である。
少数株主の持株比率
    • 監視対象となった時点から、少数株主の数は200名未満に減少した。
    • 監視対象となった時点から、少数株主の持株比率は5%未満に減少した。
取引量 月平均取引量は上半期に発行済み株式数の1%を下回り、この状況は下半期末まで続いた。
情報開示違反
    • 不誠実な情報開示に対する罰則点は、監視対象となった時点から過去1年以内に15点以上。
    • 不誠実な情報開示はコーポレート・ガバナンスに深刻な影響を与える。
    • 四半期報告書、半期報告書、年次報告書を2回連続で提出しなかった。
    • 年次報告書を提出期限から10日以内に提出しなかった。
コーポレートガバナンス違反 2年連続で社外取締役の人数が足りない、または監査役会を設置していない。
破産 破産または銀行取引の停止
その他の基準
    • 法律に従って解散される;
    • 株式譲渡の制限される;
    • 合併される;
    • 裏口上場規制に違反している。

日本証券市場

上場廃止の基準 全市場に適用
上場基準を満たさなくなった 上場企業は、上場基準を満たさなくなってから1年後に上場廃止される。企業は、上場基準を満たさなくなってから3ヶ月以内に、今後1年間で上場基準を再度満たすための計画を提出する必要がある。
財務諸表の提出遅延 年次または四半期の監査済み財務諸表の提出が期限から 1 か月以上遅れた。
不正な財務報告または監査意見が相反している
    • 企業の報告書には虚偽の情報が含まれている;
    • 監査意見が相反している、または意見不表明である。
特別警告銘柄 コーポレートガバナンスシステムが十分に導入されていない。
上場契約違反
    • 上場企業が上場契約や初回上場申請に関するコミットメントに重大な違反をした;
    • 初回上場基準を満たさなくなり、1年以内に初回上場基準を満たすための審査に合格できない;
その他の基準
    • 銀行取引の停止、破産、合併、企業再編による支配株主の変更、全株式の買収など;
    • 大多数の投資家の利益のために上場廃止。

タイ証券市場

上場廃止の基準 SET市場
パフォーマンス
    • 業務は完全またはほぼ完全に停止されている;
    • 最新の監査済み財務諸表で株主資本がマイナスの額である;
    • 財務諸表上の収益は3年連続で1億バーツ未満。
監査人の意見 監査意見が3年連続で財務諸表に対して意見不表明である。
財務状況 上場企業の資産が、SETが財務状況報告書を受け取った日から6ヶ月以上、現金または短期証券のみで存在する;
SET規定違反 上場企業がSETの規定に違反した、又は規定を遵守しなかったため、株主の利益に深刻な損害を与えたり、株式の価格に変動を引き起こしたりする可能性がある;
情報開示違反 上場企業が誤った情報を開示したり、重要な情報を開示しなかったりしたため、株主の利益に深刻な損害を与えたり、株式の価格に変動を引き起こしたりする可能性がある;
解散 上場企業が解散しているか、または裁判所の命令により管理下に置かれている;
不適切な事業活動 企業の事業活動が、上場企業として継続するのに適していない;
株式所有変更 上場企業の子会社や関連会社における株式所有比率に変更があり、その変更が上場企業に重大かつ不利な影響を及ぼす;
警告を受けたにもかかわらず継続的に違反する企業

 

    • 警告を受けてから1年後に、流通株式の比率を維持しない場合。
    • 警告を受けてから2年以内に、SETの規定に違反し続ける(例:監査委員会を設置しないなど)。

投資家向け注意事項

 強制的な上場廃止による投資資本の損失を避けるために、投資家は株式市場に参加する際に、以下の規定や注意点を理解しておく必要がある:

    • 第一に、投資家は証券市場、金融基盤、上場企業の評判および展望について十分な知識と理解を持つ必要がある。
    • 第二に、投資家は上場企業の株式への投資を選択する際には慎重になる必要があり、その企業が一般的な法的規制、特に証券法を遵守する能力を考慮する必要があり、同時に経営陣(取締役会、取締役会など)の法令順守、ビジネスの評判とコーポレートガバナンス能力の評価を考慮する必要がある;
    • 第三に、投資家は企業の株式や財務諸表に関する最新の情報を継続的に更新し、これにより株式の品質を迅速に把握し、より正確な投資判断を下すことができる。

出典:国家証券委員会

– ジャパン証券 –

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